ウェアラブルの時代・これを読めば全てが分かる

Appleが開発したApple Watchにより一気に市場が拡大。今では様々なメーカーから多種多様な製品が発売されています。スポーツ・フィットネス分野のみならずスーツを着たビジネスマンがスマートウォッチを着け、メールの受信や音楽プレイヤーを操作する姿は当たり前の光景になってきました。

スマートフォンの補助的に使う用途以外にも”一日中装着しているからこそ取得できるデータ”を活用し、日々の心拍数や歩数、消費カロリー、ストレスや睡眠時間、ライフログや健康管理にも使われるようになっています。

今回は、ウェアラブルの購入を検討している人や、ウェアラブルの基礎と動向、ウェアラブルのマーケットについて知りたい方へ向けて、シンプルかつ分かりやすく解説したいと思います。



ウェアラブルとは

ウェアラブルとは「wear」と「able」を組み合わせた言葉です。ウェアラブル端末というと「身体に装着して利用する端末」を意味します。

Apple Watchに代表される「腕時計型の端末=ウェアラブル端末」だけでなく、ウェアラブルという言葉は総称であり、その中に腕時計型や活動量計、メガネ型端末、クリップ型端末、指輪型、スピーカー型など様々な形態があるというイメージです。

そういった意味では何十年も前からあるクリップ型の歩数計もウェアラブルの一種です。いつからウェアラブルという言葉が使われ始めたのかは分かりませんが、調べてみると1980年代にはすでにウェアラブルという言葉が使われ、スポーツ向けのウェアラブル端末が発売されていました。昨今のデジタルデバイスの盛り上がりをみると、ウェアラブルという新しい概念はここ数年のうちに出来上がったものだと感じがちですが、意外にその歴史は古くあるようです。

昔と今のウェアラブルデバイスを比較した場合、性能の差があるのはもちろんのことですが、それ以上に大きな違いはやはり通信機能の強化です。ウェアラブル端末自体に通信機能を有したことやスマートフォンと連携することで、できることが大きく広がりました。

ウェアラブルで何ができる?

ウェアラブル端末というものを直感的に理解するためにデザイナーであるA子さんの1日を見てみましょう。

起床から出社まで


朝 7時、窓から差し込む朝日に照らされ起床。腕にはスマートウォッチが装着されている。スマートウォッチには前日の12時に就寝し7時に起床するまでの心拍数データが記録されている。そのデータからノンレム睡眠とレム睡眠が周期的に繰り返された様子が分かる。質の高い睡眠ができたことに満足気なA子さんだった。大きな伸びをして気持ちよく起床「う~ん、今日もよく寝れた!!」。

朝ごはんを食べ、身支度。6.4インチの大型のスマートフォンは鞄に入れて家をでた。駅までの道のり、空の様子が怪しいと思ったA子さんは、スマートウォッチの画面をタッチし今日の天気を表示した「あっ、曇りか。雨じゃなくてよかった」

駅の改札に入る時は、ICカードの代わりにスマートウォッチをかざしてホームへ向かう。電車に乗っている時、スマートウォッチがブルブルっと震えてメールの着信を知らせる。スマートウォッチの画面を見てみると、同僚からメールのようで「A子のプロジェクト、うまく進むといいね!」と表示されている。すぐに「ありがとう!!」という返事を返した。これもスマートウォッチからだ。スマートウォッチでテキストを入力することは難しいが、予め登録している定形文を使用することで効率よくコミュニケーションを行うことができる。

会社での勤務

会社につき午前中はデスクワーク。パソコンの前にずっと座っていると、スマートウォッチのバイブがなった。見てみると「座りすぎ」のアラートだ。時間は10時半、コーヒーブレイクのついでに軽くストレッチ。「さあ、お昼までもうひと頑張りしよう!!」

お昼は会社の屋上でサンドイッチを食べて、そのあとは屋上で心地よい風に当たりながらBluetoothのイヤホンを取り出しお気に入りの音楽を再生してリラックス。再生や曲送りなどの操作はもちろんスマートウォッチから。

午後はスタジオ。スチル撮影の現場だ。撮影機材の準備や照明のセッティング、細々とした作業を含め大忙し。午前中とは打って変わってアクティブに働くA子さん。スマートウォッチの心拍数は乱上下、落ち着いたと思ったら急にディレクターに呼ばれ買い出し命令が下る。駆け足で備品の買い出しへ行くA子さん。スマートウォッチの歩数計はみるみる上がり、仕事が終わった頃には5000歩を突破。この時の消費カロリーは150kcalと表示されていた「5000歩か~もっと歩いたと思ったけどな~」少しご不満なA子さん。ダイエット中なのでもっとカロリーを消費したいと考えていた。

帰宅から就寝まで

帰宅後、ご飯を食べる前に近くの河川敷をランニング。スマートウォッチのランニングアプリを立ち上げ、スタートボタンを押す。GPSは日本の「みちびき」とロシアの「Glonass」に対応しているためランニングしたルートはばっちりと記録される。走っている途中、またまたスマートウォッチがブルブルっと震えた。見てみると「オーバーペース」という表示。A子さんはあらかじめ1km当たり6分半から7分のペースという設定をしていた。この設定以上速かったり、遅かったりすると、スマートウォッチがペースから外れていると教えてくれる。まるでランニングコーチと一緒に走っているような感覚だ。

5kmのランニングを終え、スマートウォッチを見てみると「平均ペースは6分35秒、消費カロリーは268kcal」と表示されていた」

たくさんの汗をかいたので、スマートウォッチをしている手首もびっちょりと。公園の水道で手先から手首まで水をかけて汗を流した。スマートウォッチをしてても防水仕様のため気にしない。

ランニングの帰りにコンビニにより、スポーツドリンクを購入。この時、現金を持っていなかったが問題はない。スマートウォッチの電子決済で商品を購入できた。

「今日もよく走ったー!!ぐっすりと眠れそう」A子さんは夜12時就寝した。もちろんスマートウォッチをつけたままだ。



24時間365日のライフログが取れる

どうだったでしょうか?A子さんの例はあくまでも一例に過ぎませんが、スマートウォッチを活用することで24時間365日のライフログをとることができます。

1日、2日だけデータを取っても「へー、面白なー、こんなデータが取れるんだー」くらいにしか思わないかもしれません。しかし、これが1ヶ月、2ヶ月とデータが蓄積されてくると生活の傾向が見えてきて、歩数データの月間比較や消費カロリーのグラフ、睡眠の質の改善など生活における貴重なデータを分析できるようになります。

スマートウォッチが発売された当初は、スポーツやフィットネス向きで一般人が使うものじゃないという印象を持ちましたが今となってはそれは間違いであり、ウェアラブルというものが生活を向上させる端末であるということが明確になってきました。

ウェアラブル端末のタイプ

ここでは代表的なウェアラブル端末の種類を紹介したいと思います。

  • スマートウォッチ
  • リストバンド型
  • クリップ型
  • メガネ型
  • スピーカー型
  • 耳装着型型

スマートウォッチとは

ウェアラブル端末の代表的なスマートウォッチ。液晶や有機ELの画面を有し、メールやLINEなどのコミュニケーションアプリ、音楽再生、スマートフォンの通知の表示など様々な使い方ができます。多くのメーカーが参入している分野です。

リストバンド式とは

こちらはリストバンド式のウェアラブル端末。ディスプレイは小型のものが多く、アクセサリー感覚で装着できるものもある。心拍数や日々の活動量を測定することができます。腕時計型に比べアプリケーションは限定的。安価でコストパフォーマンスに優れた製品が多いです。

クリップ型とは

ウェアラブル端末の中で最も手軽なのがこのクリップ型です。昔ながらの万歩計のイメージ。手首に装着するのではなく、服やベルトなどに挟んで使用するタイプです。歩数やカロリー表示に対応。

メガネ型とは

メガネ型はAR(拡張現実)の世界を体験できるものとヘッドマウントディスプレイとして使用出来る製品に大別されます。前者はスマートフォンとの連携、カメラや加速度センサーなどが搭載。後者はドローンやカメラのモニターとして使用されます。

スピーカー型とは

スピーカー型のウェアラブルで有名なのは肩掛けスピーカーことウェアラブルネックスピーカー。ワイヤレス通信を行い、迫力ある音を間近で聞くことが出来る電子機器です。様々なアプリが使用出来るスマートウォッチなどと異なり音を聞くことに特化した製品が多いです。

耳装着型とは

耳装着型はヒアラブル端末と呼ばれ、スマートフォンと連携することで音楽を聞くだけでなく通話や音声アシスタント、ナビゲーションなどにも使用できます。

スマートフォンとの連携

スマートウォッチの魅力を最大限に引き出すにはスマートフォンとの連携は欠かせません。スマートウォッチ単体でももちろん使用できますが、その機能は限定的です。スマートフォンと連携することで機能を最大限使うことができる。

スマートウォッチとスマートフォンをペアリングするには、iPhoneやAndroidにインストールしたアプリから設定。一度ペアリングするとそのあとは自動的に同期されるものが多く、ユーザーが接続を意識することなく使用できます。

スマートウォッチが自動取得した歩数やカロリー、心拍数などのデータをスマートフォンで見ることができます。

スマートウォッチの具体的な活用例


ガーミンはもともとGPS機器メーカーであり、その位置情報技術を活用しスマートウォッチ分野へ参入しました。今ではランニングウォッチといえばガーミンというほど評価が高いメーカーです。

ガーミンの一部機種では、RDポッド(ランニングダイナミクスポッド)というクリップ型のウェアラブルデバイスを併用することで、スマートウォッチの域を超えたランニングデータを取得することができます。

ランニングの距離、時間、走ったルート、ペース(1kmあたりの時間)、消費カロリー、心拍数など一般的な項目に加え、

ピッチ(1分間に何回足を動かすか)、歩幅、上下動の振れ幅、左右の足の設置バランス、足の設置時間など、ランニングを向上させる貴重なデータを得ることができます。

これらのデータから「もっと速く走りたいので歩幅を広くすることを意識しよう」や、「上下動の振れ幅が大きいので、ピッチを細かくして抑えよう」などより効率的に走る方法を考えることができます。

ウェアラブル端末のシェア


調査会社IDC社によると2019年第一四半期のウェアラブル端末の世界シェアはアップルが堂々のトップです。続いて中国メーカーであるシャオミとファーウェイが続きます。全体の出荷台数では前年同期比で55.2%増の4,958万台。このうち3,132万台が腕時計型とリストバンド型が占めており、いわゆるスマートウォッチや活動量計と呼ばれるものが全体の半分以上を占めています。ちなみに耳装着型端末は全体の3割強となります。

これがどういうことかと言うと、腕時計型、リストバンド型、耳装着型のウェアラブル端末で全体の98%を占め、これらの機器がこの分野の成長を牽引しているのが分かります。


一方、日本国内のシェアはアップルが73.4%と驚異のシェアを獲得。アップルは国内市場において303.1%の成長率を誇ります。これはAirPodsの出荷が大きく貢献した結果です。

ウェアラブル端末の市場予測

世界のウェアラブル端末の出荷台数は2018年には1億2,256台、2019年から2022年までは10%強の成長が見込まれ、2022年には1億9,039台の出荷になると予測されています。
※データはIDC社によるもの

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