巨大経済圏構想「一帯一路」で中国の影響力がさらに拡大する?

中国が主導する巨大経済圏構想「一帯一路」

中国のみならず、アジア、アフリカ、ヨーロッパまで含めた世界経済圏の確立を目指すべく史上最大となるインフラ投資計画が進行しています。

一帯一路ってどんな構想?

2013年 習近平国家主席が提唱した経済圏構想です。

インフラ整備、貿易促進、金融、人の交流を中国主導で行い経済成長につなげようというものです。

「一帯」とは、古代に作られた中国とヨーロッパを結ぶ現代版シルクロードを作ろうというものです。

中国、中央アジア、ロシア、ヨーロッパまでをつなぎ「シルクロード経済ベルト」と呼んでいます。この陸路は実際には6本あり、メインルートから分岐するかたちで各国へ繋がっています。

「一路」は、中国、東南アジア、アフリカ、ヨーロッパを海上でむすぶ「21世紀海上シルクロード」と呼ばれています。

この「陸のシルクロード」と「海のシルクロード」によって巨大な物流網を作り上げようとしています。

NOTE
シルクロードとは、古代のユーラシア大陸の東西を結んだ交易路。絹や羊毛、金、銀などが運ばれていました。

一帯一路参加国

2015年には60カ国ほどの参加国でしたが、2019年には125カ国、2020年3月には138カ国まで増えています。

2019年3月、イタリア・コンテ首相が一帯一路の覚書に署名。交通インフラ、エネルギー、農業、金融など29の契約が結ばれました。主要7カ国(G7)のなかで初めて一帯一路に参加した国として話題になりました。

この一帯一路には、日本を含めイタリア以外の主要7カ国(G7)メンバーは参加していません。

アジアインフラ投資銀行とは

アジアインフラ投資銀行(AIIB)は、一帯一路構想を実現するためのインフラ整備の金融支援を行うため、2015年に発足した投資銀行です。本部は中国・北京。

資本金1000億ドルのうち75%はアジアの国、25%はヨーロッパなどで配分することとしています。中国は全体の30%となる297.8億ドルを出資していることから、最も大きな影響力をもつ国となっています。

各国が中国に警戒?

鉄道や空港、エネルギー、通信などへのインフラ投資を進め、順調に見えてきた一帯一路構想にも近年陰りが見え、多くの国が警戒し始めてきました。

インフラ投資を受ける側の国は、中国からどんどんとお金を借りますが、その借金が膨らんでいき返済ができなくなります。そしてその債務が返せなければ、担保としていた土地などを中国へ明け渡さざるを得なくなります。これは「債務の罠」や「借金漬け外交」「現代版の植民地政策」と呼ばれ各国から批判の声があがっています。またこのような中国の融資は国際基準に合致していないと言われています。

スリランカ 中国へ港の運営権を譲渡

実際にスリランカでは、中国からの融資を受けて建設した港湾の運営が赤字続きで返済のメドが立たなくなり、港の運営権を中国へ99年間譲渡することを決定しました。

スリランカ国内では中国に対する抗議運動につながっているものの、これまでと同様に経済の中国依存は続くだろうというのが大方の見方です。

タンザニア大統領 搾取的な条件に反発

2019年6月 タンザニアは、港湾建設に関わる中国への100億ドルの借金をキャンセルしました。
資金調達と引き換えに中国から提示された条件は、「狂った人間にしか受け入れられない厳しい条件」「通常の理性をもって考えると受け入れられない」として港湾計画を中止。

マレーシア 一帯一路事業 大幅縮小

マレーシアの新政府は200億ドルの鉄道事業を縮小したことを発表。前政権が決めたこの事業に対して「費用回収のめどが立たない」として見直しを迫りました。

マレーシアのマハティール首相は「債務のわなという懸念に対する私たちの解決策だ」と述べています。

世界に衝撃を与えたイタリアの参加

2019年3月 イタリアは中国の「一帯一路」構想に関する覚書を締結しました。主要7カ国(G7)のなかで初めて一帯一路に参加した国となります。

インフラ分野などでビジネス協力を展開することで中国への輸出増加、投資呼び込みなどイタリア経済回復の起爆剤にしようとする狙いがあります。イタリアは現在、財政悪化および0%台の低成長率を打開しようとする一方で、中国はイタリアの港へのアクセスを得ることでヨーロッパへの貿易ネットワークを強化しようとしています。