日本国内で出願・取得した特許の効力の範囲

ビジネスのグローバル化が進む中、海外へ出願する特許は年々増えています。海外への出願はこの10年で約2倍に増加。海外における特許戦略の重要性は増すばかりです。

ただ、本当に海外で特許を取得する必要があるのでしょうか?日本国内の特許だけで事足りるのでは?日本で取得した特許の効力の範囲は?

そんな疑問に答えるよう本記事では、日本国内で出願・取得した特許の効力の範囲についてシンプルかつ分かりやすく解説したいと思います。



ケーススタディー

電子部品を作る日本企業「株式会社セキセイ」が、省エネ部品について日本国内で特許権を取得しました。これにより株式会社セキセイには当該技術において独占排他的権利が認められ、市場シェアは急拡大。飛ぶ鳥を落とす勢いでビジネスを成長させていました。

日本国内でのみ特許権を取得した「株式会社セキセイ」のケースをみていきましょう。

日本国内で競合会社が同じ技術を採用

ある日、競合の株式会社オカメが同じ省エネ機構を有した部品を日本国内で販売していることが分かりました。特許侵害として認められるでしょうか?

Anser
これは株式会社セキセイの特許権を侵害しています。株式会社オカメへの通知または地方裁判所へ提訴することで、特許権侵害品の販売の禁止および損害賠償を求めることができます。

日本で製造し海外へ輸出

またもや株式会社オカメについてよからぬ噂が流れてきました。どうやら日本で製造したものを海外で販売しているようです。株式会社オカメへ問い合わせると「日本では売ってないですよ。海外ですから日本の特許権は侵害してませんけど何か?」のように悪びれる様子は全くありません。日本の特許権の権利は及ばないのでしょうか?

Anser
日本国内で製造したものを海外へ輸出する行為は日本の特許権の侵害になります。特許権とは出願から20年にわたりその発明を続戦的に実施できる権利が与えられるものです。ここでいう実施とは、物を生産、使用、譲渡、輸出または輸入する行為を言います。今回のケースにおいては、日本で物の生産及び輸出しているため特許権の侵害となります。

海外で製造し日本への輸入

中国企業が中国国内において省エネ部品を製造し、それを日本の株式会社オカメが輸入しているという情報を得ました。海外で製造したものには特許権は及ばないのでしょうか?

Anser
輸出の時と同様に輸入も特許権の侵害となります。特許権では物を生産、使用、譲渡、輸出または輸入する権利が与えられています。今回のケースにおいては、日本で物を輸入しているため特許権の侵害となります。

海外で製品に仕上げて日本へ輸入

中国企業が中国国内において製品の形態を模倣した省エネ部品を製造し、その部品を薄型テレビへ組み込みました。そして株式会社オカメが薄型テレビを輸入し、日本で販売を行っています。株式会社オカメは「省エネ部品ではなく、薄型テレビを輸入しているのだから、株式会社セキセイの省エネ部品に対する特許権は侵害していない。」と主張しています。

Anser
株式会社オカメが輸入しているのは、薄型テレビなので省エネ部品に対する特許侵害にはあたりません。しかし、その当該部品がその製品にのみ用いる物であったり、中心的な構成部品である場合などは特許侵害になる可能性があります。これらを間接侵害といい、特許侵害行為とみなすことができます。間接侵害にあたるかどうかは「専用品」であるか「汎用品」かどうかが焦点となります。

海外で製造して海外で販売する場合

中国企業が中国において省エネ部品を製造し、中国国内において販売を行っています。これは株式会社セキセイの特許侵害となるでしょうか?

Anser
中国国内での実施(製造及び販売)なので日本の特許権の範囲外になります。この製造販売を禁止することはできません。今回のケースに対応するには中国において特許権を取得することが必要となります。