企業が株主から集めた資本をどれだけ効率的に運用しているかを測る指標がROEです。
今回は、財務分析における代表的な指標であり、投資判断に関わる重要な数値『ROE』について分かりやすく解説したいと思います。
ROEとは
ROE(Return on Equity = 自己資本利益率)とは、企業の自己資本をいかに効率的に運用して利益につなげたのかを表す指標です。
ROEが高い会社は、投資された資金を生産性を上げる設備へ投資するなど効率を追求した事業運営を行っています。
ROEが低い会社は投資された資金をうまく使えず、投入した資金のわりに利益が少ない。効率の悪い事業運営を行っていることになります。
計算式は、当期の純利益を自己資本で割ることで算出されます。
[ROE:Return on Equity(自己資本利益率)]
ROE(%) = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100
分母は自己資本としていますが、株主資本で計算することがあります。厳密には異なりますが投資初心者は自己資本≒株主資本という認識でOKです。
ROEの平均値
「2019年企業活動基本調査速報-2018年度実績-」によるところ
全産業のROEの平均値は8.6%です。
業種別では、情報通信業や卸売業、サービス業は10%超え。それに次いで製造業、小売業、物品賃貸業、飲食サービス業、生活サービス業、個人教授業などが7〜9%となっています。
[ROE 業種別平均値]
鉱業、採石業、砂利採取業:3.5%
製造業:8.4%
電気・ガス業:5.9%
情報通信業:10.2%
卸売業:10.7%
小売業:7.3%
クレジットカード、割賦金融業:2.6%
物品賃貸業:8.7%
学術研究、専門、技術サービス業:4.8%
飲食サービス業:8.5%
生活関連サービス業、娯楽業:7.4%
個人教授業:8.2%
サービス業:14.3%
ROA
ROEと似たものでROAというものもありますが、こちらは総資産に対する利益率となります。こちらも代表的な指標です。
[ROA:Return on Assets(総資本利益率)]
企業の総資本に対してどれだけ程度の利益を上げているかを表す指標です。ROEとの違いは計算式の分母が自己資本なのか総資本なのかが異なります。
ROEは業種によって異なりますが、5%以上目安とされています。
ROA(%) = 当期純利益 ÷ 総資本 × 100