【解説】QLED

現在、スマートフォンのハイエンドモデルに搭載されているのは、サムスンやLG、シャープ、JDIなどのプレイヤーよって生産されている有機ELディスプレイです。

2020年にはミニLED搭載のノートパソコンが多数発売され、2021年5月にはミニLED搭載のiPadが発売されるなど次世代ディスプレイも盛り上がってきていますが、ハイエンドモバイルやテレビなどでは有機ELが依然トップの座を守り続けています。

本記事では、サムスンから発売されている有機ELテレビ「QLED」についてシンプルかつ分かりやすく解説したいと思います。

これまでテレビで有機ELと言えばLGの独断場でした。大型化が難しいとされる有機ELではLGが1歩リードしているように思えましたが、他のメーカー、特に同じ韓国メーカーのサムスンはその状況を指をくわえて見ている訳ではありませんでした。

サムスンはQLEDを発売し、LGのOLED VS サムスンのQLEDという図式を作りだすことに成功。その先進性をうまくアピールした事で消費者に最先端テレビとしての印象を与えました。

しかし、OLED(Organic )に比べQLEDはその中身が分かりにくく、漠然と新しい技術を使ったテレビくらいの認識しか伝わっていないのではないでしょうか?



QLEDとは?

QLEDのQは「量子/Quantum」のことです。 量子ドット(Quantum Dot)の技術を採用したディスプレイをQLEDと言います。

量子ドットとは?

直径2~10ナノメートルサイズの半導体微粒子のことです。

この2〜10ナノメートルというサイズは、原子が10〜50個程度の非常に小さなサイズです。(ナノメートルは1メートルの10億分の1を表す単位)

量子ドットはその大きさによってエネルギー状態を変えることができる特徴を持っています。ナノ粒子のサイズが小さいときは青色に発光し、サイズが大きくなると赤色に発光するなど粒径に依存した発光特性をもっているのが特徴。

量子ドットの主な用途は?

量子ドットは、生体イメージングなどのバイオ産業、エネルギー産業、ディスプレイなどの電子機器などさまざまな分野での利用を目的とし研究が行われています。

QLEDディスプレイのメリットは?

明るく鮮やか色彩表現、表示できる色を増やすことよる広色域実現、明暗のコントラスト表現など画質面でメリットが得られます。

QLEDの誕生


激しい戦いを繰り広げているサムスンとLG。

毎年アメリカ・ラスベガスで行われるコンシューマー・エレクトロニクス・ショー「CES2017」でLGのOLEDに対抗すべくサムスンはQLEDを展開しました。

このとき発表したQLEDは、量子ドット技術を用いたLEDバックライト液晶テレビです。液晶パネルとLEDバックライトの間に量子ドットのシートを貼り付け、ハイコントラストや高彩色を実現。

中国・TCL QLED発売


2019年9月、サムスンに続き、テレビ世界シェア第2位の中国・TCLもQLEDテレビを発売。上の画像のようにLCDパネルとバックライトの間に量子ドットフィルムが挟まれているのが分かります。

また、TCL X10というQLEDテレビは、ディスプレイ直下に15,000個のミニLEDライトを搭載。従来の液晶テレビに比べ、3倍以上の輝度(最高ピーク輝度1500nits)を実現しています。

今後はQD-OLED、そして自発光量子ドットへと展開される

量子ドットの技術は日々進化しており、新しい製品がどんどんと生み出されていきます。

LCDパネルと量子ドットフィルムの組み合わせの次は、量子ドットと青色OLEDを組み合わせたQD-OLEDへと発展。さらには「自発光量子ドット」を実現するための研究開発が盛んに実施されています。

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