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OpenFoamチュートリアルcavityについて
cavity流れについては以下の記事で書いていますので、まずはこちらを参照ください。>>>OpenFoamではじめての流体解析 まずはキャビティ流れを確認する
前回の記事と今回のゴール
前回は、cavityをカスタマイズして左から右へ流体が流れるようにしました。こちらの記事を参照ください。本記事ではこの記事に記載しているコードをベースにしています>>>OpenFOAM初心者向けチュートリアル:Cavityを編集して流体を左から右へ流す方法
こんな感じで左が流入側、右が流出側です。上下は壁です。
色の変化を見てみると、流入側では1m/sの流速ですが、流出側の中央部は1.5m/sくらいになっています。壁面の速度は0です。
中央部の流速はもっと早くなるのでしょうか?それとも最大流速1.5m/s程度で安定するのでしょうか?
今回の記事では解析領域を拡大して、流速がさらに変化していくかどうかを確認したいと思います。X方向の解析領域を0.1mから0.3mに変更します。
尚、本シリーズはOpenFoamの使い方に慣れることを目的としているので、解析の正確性などを保証するものではなく、まずは設定を変更して流体の流れを変えること。この実現をゴールとします。(試行錯誤して行っていますので余計な記載や、変更が十分でないところがあることご了承願います。また環境やバージョンによって結果が異なる可能性もあります。)
cavityのファイル構成を確認
まずはcavityのファイル構成を確認しましょう。
フォルダは「0」「constant」「system」の3つです。
「0」フォルダ:初期条件のファイルを含むフォルダです。初期速度、圧力など。
「constant」フォルダ:定数パラメータを含むフォルダです。物理的な特性など。
「system」フォルダ:計算の制御や設定を含むフォルダです。時間ステップの設定、ソルバーの選択、解析制御ファイルの作成方法など。
system – blockMeshDict
systemフォルダにあるblockMeshDicファイルから編集していきましょう。
今回は解析領域を変更するため、verticesとblocksの値を変えます。verticesはx方向を3、blocksでX方向の分割数を60にしました。
vertices
(
(0 0 0)
(3 0 0)
(3 1 0)
(0 1 0)
(0 0 0.1)
(3 0 0.1)
(3 1 0.1)
(0 1 0.1)
);
blocks
(
hex (0 1 2 3 4 5 6 7) (60 20 1) simpleGrading (1 1 1)
);
system – PDRblockMeshDict
同じくsystemフォルダにあるPDRblockMeshDictも編集します。変更箇所はboundaryのxところです。pointsの終点を3、nCellsを60にしました。
※こちらも一応変更しましたが、あまり意味ないかもしれません。
x
{
points (0 3); // ブロックの始点と終点
nCells (60); // ブロックのx方向に含まれるセル数
ratios (1); // 隣接するブロックとの境界におけるセルサイズ比
}
実行
メッシュはこんな感じ。X方向の長さを3倍、分割も3倍なのでメッシュサイズは前回と変わりません。
流速を可視化しました。流入側1m/sに対して、最大流速は1.5m/s程度で安定してそうですね。理屈通りだと思います。
解析結果が正しいかどうかを判断するには、流体力学の知識が必要になると思います。入門は以下の書籍あたりから始めましょう。
OpenFOAMの使い方はこちらで体系的に学ぶことができます。