JOLEDが中国TCL CSOTと資本業務提携を締結したと発表。
JOLEDとは
JOLEDは、世界初の印刷方式の有機ディスプレイを開発。製造しているメーカーです。
もともとは経済産業省が主導してソニーとパナソニックの有機EL部門を統合して設立された会社です。
有機ELパネルの製造方式
蒸着方式は、ディスプレイパネルを真空装置へ投入して処理をするため、大掛かりな設備が必要になります。また多品種に対応する際にも、その品種ごとに非常に高価な部材となるマスクを準備する必要があります。
一方、印刷方式は大気下で処理することがすることが可能。インクジェットプリンターのような装置でRGBの発光層を成膜できるため低コストで生産、また多品種対応ができる利点があります。
中国TCL CSOTとは
中国テレビ大手 TCLの子会社となるのが、深センのパネルメーカーCSOT(Shenzhen China Star Optoelectronics Technology)です。
1981年に設立されたTCLは、家電製品や携帯電話、液晶パネルなどで躍進、テレビ分野ではサムスンに続く第2位のシェアを獲得するまでになりました。
JOLEDと中国TCL CSOTが資本業務提携
2020年6月、JOLEDは、CSOTを引受先とする第三者割当増資により200億円を調達。
JOLEDとCSOTは、印刷方式の大型パネルの共同開発を開始すると発表しました。
現在、中国ではBOEや天馬などが有機ELへの投資を積極的に行っていて、特にBOEでは有機ELパネルがAppleに採用されると報道された時には、ついに中国のレベルもここまできたかと目を見張るものがありました。
印刷方式は、生産工程がシンプルで多様な画面サイズに対応可能であることから、有機ELディスプレイ製造に革新をもたらす技術として期待されています。
現在、大型の有機ELパネルは韓国のLGディスプレーが市場シェアのの大半を握る中、JOLED、CSOTによる技術が業界に風穴をあけるのか?注目が集まります。
ライセンス供与というと聞こえはいいが・・・
JOLEDはこれまでも技術外販を事業戦略としてきました。技術流出を招きかねない「諸刃の剣」と言われていた戦略です。
今回の中国TCL CSOTとの提携は、これまでのパナソニックやSCREENファインテックソリューションズなどとの提携とは意味合いが異なります。
パネル製造は、基本的な技術はもとより製造ノウハウの蓄積がありはじめて量産化に成功します。
ライセンス供与というと聞こえはよく、量産ラインをつくるための大規模投資も必要ありません。
しかしJDIもしかり、これまでの経緯をみているとこういったリスクをとった挑戦が悪あがきに見えなくもなくて。
シャープやJDIの記事などを見るたびに思います。日本企業の出世のあり方を。
経営層に成るべくして成る人がもっと増えてきて欲しいですね。