働き方改革は、日本が直面する「少子高齢化に伴う生産性人口の減少」「働くニーズの多様化」などに対応し、ひとりひとりが活躍できる社会を作ろうというものです。
すでに働き方改革に取り組んでいる企業も多いと思いますが、残業時間の削減やテレワークの促進ばかりが注目され、全体像が見えづらい部分もあるかと思います。
今回は、働き方改革の全体像についてシンプルかつわかりやすく解説したいと思います。
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働き方改革の背景にあるもの
(図:総務省)
働き方改革は、日本が直面する人口減少社会に対応するものです。
働き方改革がこれだけ議論されている背景には日本が直面する人口減少社会の到来があります。日本はすでに人口減少局面に入っています。2010年には1.28億人だった人口が、2030年には1.17億人、2040年には1.07億人、2050年には1億人を切り9700万人となると予測されています。
(図:総務省)
人口の減少とともに、生産年齢人口(15歳~64歳)も減少。2015年の生産年齢人口(15歳~64歳)は7,629万人ですが、2030年には6,875万人、2060年には4,793万人にまで減少すると予想されています。
このまま人口・生産年齢人口が減少を続けると国力の低下は避けられません。このため働き方改革として「多様な働き方を可能とするとともに成長と分配の好循環を実現」させようとするものです。
働き方改革とは
人口減少社会が到来し、労働力の主力となる15歳から64歳の生産年齢人口は想定状のペースで減少します。
では、労働力が不足するなかで、どのように対応していくかを見てみましょう。
労働力不足解消に向けての3つの対応策
- 働き手を増やす
- 出生率の上げる
- 労働生産性の向上
働き方改革関連法では、これらを達成するための3つの柱を設定しました。それが次の3項目です。
働き方改革の3つの柱
2018年7月6日に公布された「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」は、
- 働き方改革の総合的かつ継続的な推進
- 長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等
- 雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保
この3つの柱は、労働基準法や労働契約法、雇用対策法などの法律を改正するものとなります。
このなかで特に私たちに直結する法律は、「2. 長時間労働の〜」と「3. 雇用形態に〜」という2つの項目です。
では、この2項目、3項目の具体的な内容についてみていきましょう。
長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等
「長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等」をさらに3つに分類すると、次のようになります。
- 労働時間に関する制度の見直し
- 勤務間インターバル制度の普及促進等
- 産業医・産業保健機能の強化
「労働時間に関する制度の見直し」の内容
「残業時間の罰則つき上限規制」では、繁忙期でも月100時間、年間720時間(原則は月45時間)までを上限として設定。
「高度プロフェッショナル制度の導入」では、年収1075万円以上の一部専門職を労働時間に関する保護から外すものです。
「勤務時間インターバル制度」の内容
「勤務時間インターバル制度」では、終業から次の始業まで一定の時間を確保することが明記されました。
「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」とは
「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」をさらに3つに分類すると、次のようになります。
- 不合理な待遇差を解消するための規定の整備
- 労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
- 行政による履行確保措置及び裁判外紛争解決手続
「不合理な待遇差を解消するための規定の整備」の内容
「同一労働同一賃金の促進」は、これは同一企業内における正社員と非正規社員の間の不合理な待遇の差をなくすものです。

労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
パートタイム・有期雇用労働者は労働条件や職務内容が明確でない場合もあり、正社員との待遇差についてもあいまいになりがちです。パートタイム・有期雇用労働者はこれらの待遇の相違に関する説明を会社に求めることができ,会社はそれに応じなければなりません。
働き方改革の具体的な取り組み
ここまで落とし込んでくると、今現在各企業で取り組んでいる内容になってくるかと思います。働き方改革関連法の具体的内容はまだまだありますが、ここでは全体の流れを見ることを優先させたため多くの詳細を省略しています。シンプルにすることで働き方改革の全容がより理解できたのではないでしょうか?これらは2019年4月から2021年4月にかけて順次適応されていきます。