経済のキホン 生活に関わる消費者物価指数を分かりやすく解説

物価の変化を表す消費者物価指数は、日本の景気を語る上で欠かせない指標です。

日常生活で私たちが購入するモノ・サービスの値段から算出されるこの指標は、政府が打ち出す経済施策はもちろん、私たちの生活にも直接関係してきます。

本記事では経済ニュースでも頻出するこの消費者物価指数をシンプルかつ分かりやすく解説したいと思います。



消費者物価指数とは

消費者物価指数(CPI:Consumer Price Index)は、モノやサービスの値段の動き表す指標です。

食料品、衣料品、電気製品などの財の価格や家賃、通信料などのサービスの価格を基準となる年と比較することで、物価がどう変化したのかを客観的に知ることができます。

主な指数は3つ

消費者物価指数という場合は、消費者である私たちがスーパーで食料品を買う、電気屋さんで家電製品を買うときの価格の動きを表します。その他、企業間で取引されるものは企業物価指数、企業間で提供されるサービスは企業向けサービス価格指数などがあります。


(図:総務省)

[物価指数の種類]
消費者物価指数:小売段階の財及びサービスの物価の動きを示す
企業物価指数:企業間で取引される財の価格に焦点を当てた
企業向けサービス価格指数:企業間で提供されるサービスの物価変動を捉える

消費者物価指数を作成する目的

消費者物価指数は経済政策の指標です。経済を安定させるため大変重要な指標となります。

現在日本は長引くデフレのなかにあると言われており、政府はデフレ脱却と持続的な経済成長のため消費者物価指数を2%にすることを目標に掲げています。政府や日本銀行が経済・金融政策を決定する際にはこの物価指数が重要な判断材料の一つとなっています。

また、厚生年金や国民年金などの公的年金の給付水準は,前年の消費者物価指数の変化率を基準のひとつとして調整されることが法律で定められています。

消費者物価指数はいつから作成されている?

消費者物価指数は、第二次世界大戦直後の1946年から作成されています。

戦後の混乱の中、激しいインフレーションを抑制し経済を安定成長させるために重要な役割を果たしました。日本経済の体温計とも言われています。

消費者物価指数はいつ発表される?

総務省から毎月発表されます。全国の前月分指数を、原則として毎月19日を含む週の金曜日の午前8時30分に公表。

消費者物価指数はどうやって作られる?

私たちが購入する商品・サービスのなかから重要度が高い588品目を選び算出します。

選ばれた商品は指数品目と言われ、家計の消費支出額に占めるその商品の割合に応じて、重み付け(ウエイト)され計算されます。指数品目は,家計の消費支出の実態を十分に反映できるよう、食料品,衣料品,エアコン・テレビ・パソコンのような家電製品,電気・ガス代などの財のほか,家賃,電話通信 料,診療代,外食,授業料,クリーニング代,レンタカー料金などが選ばれています。



消費者物価指数の見方


消費者物価指数は、「総合指数」から生鮮食品を除いたものを併せて作成・公表しています。

消費者物価指数は基準年が設けられ、5年ごとに改定されます。現在は2015年を基準とした値となっています。


メディアで報道される消費者物価指数は、通常「総合指数」から生鮮食品を除いたものです。これは生鮮食品は、天候の影響を強く受け毎月の変動幅が大きくなる傾向があるため、それを除いた指数が発表されています。「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」となった場合は生鮮食品に加え原油価格の影響を受けるエネルギーを除いた数値となります。

消費者物価指数の推移


消費者物価指数は、戦後から90年代半ばまでの日本経済の成長とともに上昇を継続してきました。その後はほぼ横ばいです。(2015年を基準)

近年の消費者物価指数の推移


総務省が発表した2019年の消費者物価指数(2015年を基準とする)は、2017年から3年連続でプラスとなっており「物価の緩やかな上昇傾向」になっています。ただ「デフレ脱却と持続的な経済成長のため消費者物価指数を2%にする」という政府の目標には達していません。

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