二酸化炭素濃度が上昇、平均気温が上昇、海面の上昇。地球温暖化により国全体が沈んでいき様々な種が絶滅する。そんな未来を防ぐため多くの環境団体が活動しています。
しかし、彼らは問題の核となる部分には触れません。表立って言うのは、運輸関係やエネルギー関係の温室効果ガス排出ばかり。
「Cowspiracy:サステイナビリティ(持続可能性)の秘密」はそんな環境問題のタブーに鋭く切り込むドキュメンタリー映画です。配信はNETFLIX。
国連の報告
運輸関係より畜産関係のほうが温室効果ガスの排出量が多い。
乗用車、トラック、鉄道、船舶、飛行機などの運輸関係より畜産関係のほうが温室効果ガスの排出量が多いと報告されています。しかし、環境団体はそのことには一切触れず、運輸関係や天然ガス、石油開発ばかりを批判しています。
温暖化は家畜によって引き起こされる
家畜のげっぷや糞から発生するメタンガスや亜酸化窒素が温暖化の要因となります。
運輸やエネルギー産業では二酸化炭素が問題となり、もちろんこれらも排出削減の対象となることが求められていますが、それよりも畜産業が排出するメタンガスや亜酸化窒素のほうが影響が大きいと言われています。二酸化炭素の温暖化係数を1とした場合、メタンは21倍、亜酸化窒素は296倍の温室効果があります。
アメリカでは毎秒53トンも家畜によって排便がなされています。人間の130倍の排便となり、しかも何の処理もされていない状態です。畜産から流れ出る排水は海の環境へも影響を及ぼしています。
人口増加に伴い畜産物の消費量が世界的に増えることから、専門家によると人間が起こす温暖化原因の51%が畜産になると予測されています。
畜産業の水の消費量
畜産業では驚くほど大量に水を消費します。家庭で使う水が全体の5%だとすると、畜産業で使用される水は55%。量にして130兆リットルの水を消費します。
これは家畜の餌の穀物に大量の水が使用されていることも含まれ、畜産全体として考えた場合、食肉の消費の陰に大量の水消費があることを意味します。
例えば、ハンバーガーひとつには2500リットルの水が必要となります。水の消費で菅えると、ハンバーガーを食べるのは2ヶ月間シャワーを浴び続けるのと同じです。畜産というのはそれだけ水を大量に消費する産業と言われています。
環境団体は水の消費を抑えようとしますが、何故かこれだけ大量に水を消費している畜産業には言及しません。
生態系の変化
1万年前、生物の99%は野生動物、残り1%は人類でした。それがいまは逆転。人類と人類が所有している動物が98%、野生動物は僅か2%です。
熱帯雨林の減少の主な要因は、畜産とその餌の栽培です。アマゾンの熱帯雨林は10年で消滅すると言われ、ブラジルでは多くの人たちが畜産業を批判しました。
しかし、過去20年でブラジルでは1100人以上が殺されました。これらは畜産業の問題を提起し批判した人たちです。数十年前の話ではなく、2010年代になっても続いていることです。
畜産業は地球で最も力のある団体
環境破壊の主要因が家畜とわかりながらも環境団体がそれに言及しないのは、ビジネスに影響するからです。資金集めに支障がでるのです。
畜産業は地球で最も力のある団体と言われ、強硬なロビー活動を展開、米国政府や連邦議会における政策や貿易問題などに関し大きな影響力を及ぼしています。
増え続ける人口
1812年地球の人口 10億人でしたが、1912年には15億人、2012年70億人、そして2050年には97億人になると予想されています。
人類は毎日200億リットルの水を飲み、10億キロの食糧を食べます。15億頭の牛は毎日1700億リットルの水を飲み、600億キロの餌を食べます。
人類が増えると肉の消費量も上がりますが、その餌となる食物を育てる土地が足りなくなります。
現在、飢餓に苦しんでいる貧しい国でも餌用の植物を栽培し、他の畜産を行っている国へ輸出しています。その土地で家畜用の餌ではなく人間が食べるものを栽培すれば、全ての人に食べ物が行き渡るはずです。
地球環境を考え、そして人々は健康になる
一人が肉を食べるのをやめれば、二酸化炭素排出量は肉食者の半分になり、化石燃料の消費は11分の1、水の使用は13分の1、土地の利用は18分の1。違いは大きい
4万リットルの水、20キロの穀物、3平方メートルの森林、5キロ分の二酸化炭素、動物一匹の命
これだけの量が変わります。毎日です。
二酸化炭素排出量の削減では、改善までに非常に長い時間を要します。菜食主義者になればすぐに結果がでます。
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動物、牛や鶏、豚、魚の繁殖が不要になる
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繁殖しないなら餌も必要ない
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餌が不要なら穀物や豆類も必要ない
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これらを育てる畑も必要ないから森林が復活する。野生動物も戻る
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海も復活し、水や空気がきれいになる
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人々は健康になる
環境問題について、とても興味深いドキュメンタリー映画でした。