企業の安全性を測る指標と言われている自己資本比率。自己資本比率は高いほどに健全な事業運営ができると言われ、自己資本比率が低い場合は銀行からの借金に依存していたり、外部からの影響をうけやすく倒産リスクも高くなりがちです。
では、実際に自己資本比率はどれくらいあればいいのでしょうか?今回は、自己資本比率についてシンプルかつ分かりやすく解説したいと思います。
自己資本比率とは
自己資本比率とは、総資本のうち自己資本が全体の何%あるかを示す指標です。
自己資本比率(%) = 自己資本 ÷ 総資本 x 100
自己資本比率の平均値
全産業の自己資本比率の平均値は40.92%です。
※経済産業省による令和元年中小企業実態基本調査より。
自己資本比率は業種によって異なります。一概に何%だから良いと言うものではありませんが、一般的には40%以上あれば優良企業、70%以上あれば超優良企業と言われています。
反対に自己資本比率が10%以下では経営状況が悪く、会社として危険な状況です。さらに悪化して自己資本比率がマイナスになると債務超過を意味します。
企業の自己資本比率を見てみよう
上場企業の自己資本比率を一部抜粋。
[製造業]
トヨタ 37.3%
ホンダ 40.5%
日産 32.9%
[電気機器]
パナソニック 29.5%
シャープ 16.3%
NEC 29.3%
キーエンス 96.7%
オムロン 71.3%
[小売業]
ファーストリテイリング 39.1%
良品計画 62.8%
ニトリ 82.8%
ZOZO 32.4%
[外食]
鳥貴族 42.5%
すかいらーく 29.3%
ペッパーフードサービス 2.0%
[情報・通信]
NTTドコモ 72.5%
KDDI 45.9%
ソフトバンク 9.7%
[銀行]
三井住友ファイナンシャルグループ 5.2%
三菱UFJファイナンシャルグループ 5.3%
みずほファイナンシャルグループ 4.3%
※記事執筆時の自己資本比率となります。
自己資本比率 数値の読み方
自己資本比率の平均 40.92%に対して、自動車メーカーの3社はすべて平均を下回っています。例えばトヨタは37.3%ですが、これはトヨタの経営の安全性が平均より下回っている訳ではありません。
自己資本比率は、総資産に対する自己資本の比率なので、製造業のように設備を有しているかどうかなどで大きく変わります。
銀行業の3社も総じて低くなっていますが、これは業種特有のものです。他の業種と同じ土俵で考えるものではありません。
一方、同じ業種で見た場合、電気機器のキーエンスは自己資本比率が96.7%と突出しています。他の同じ業種に比べ高くなっているのは、経営基盤が盤石なことを意味しています。キーエンスは日本を代表する超優良企業です。
外食産業で見た場合、経営危機に陥っているペッパーフードサービスの自己資本比率は2%と目立って低くなっています。これは借入金に依存した経営になっており、事業が非常に不安定になっていると考えられます。
企業の健康状態をチェックしよう
自己資本比率は企業の安全性を測るものです。私たちが毎年健康診断をするように、企業の健康状態を測ります。過去の水準と見比べることで分かってくることもあります。
定期的に自分たちの会社や、気になる会社の健康状態をチェックしてみては如何でしょうか。