ウィルスの増殖を阻止するアビガンとは?

アビガンとは

人の細胞内でウイルスが増殖するのを防ぐ薬です。

富士フィルム富山化学工業が開発したインフルエンザ治療薬。使用は、その副作用の危険性から制限がありタミフルなど他の抗インフルエンザウイルス薬が無効または効果不十分なときに限られています。

アビガンは、2014年3月に日本で製造販売が認められた薬です。従来の薬のように、インフルエンザウィルスを細胞内に閉じ込めるのに対して、アビガンは細胞内に入り込んだウィルスの増殖を阻止する特徴があります。


富士フィルム富山化学
本剤は、他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分な新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症が発生し、本剤を当該インフルエンザウイルスへの対策に使用すると国が判断した場合にのみ、患者への投与が検討される医薬品である。本剤の使用に際しては、国が示す当該インフルエンザウイルスへの対策の情報を含め、最新の情報を随時参照し、適切な患者に対して使用すること。

アビガンの使用制限および副作用

アビガンは「本剤を当該インフルエンザウイルスへの対策に使用すると国が判断した場合にのみ、患者への投与が検討される医薬品である。」と定められています。

動物実験において初期胚の致死及び催奇形性が認めらたことから妊婦又は妊娠している可能性のある人は、投与開始前に妊娠検査を行い陰性であることを確認した上で投与を開始することとされています。また転落等に至るおそれのある異常行動があらわれた例も報告されています。

西アフリカで流行したエボラ出血熱

2014年、西アフリカでエボラウイルスが原因となって発症するエボラ出血熱が流行。その特効薬としてアビガンが使用されました。

参考

富士フイルムのインフル薬、エボラ熱死亡率半減 中間結果日経

2015年2月24日付の日経によると投与を受けたエボラ患者のうちウイルス量が相対的に少ない患者では死亡率が30%から15%に半減。一方で、ウイルス量が「非常に多い」とされた患者には効果がみられなかったとあります。

日本政府 アビガンを200万人分備蓄

2017年、日本政府は200万人分のアビガンを備蓄することを決めました。

参考

新型インフル流行に備え、治療薬200万人分備蓄へ朝日新聞

既存薬への耐性があるインフルエンザや、バイオテロなどへ備え200万人分の備蓄決定。使用はタミフルなど既存の4薬の効果が不十分だと厚生労働相が判断した場合のみに使用されます。

台湾政府 アビガンの備蓄を決定

ヒトへの感染の危険性が高まっている鳥・豚インフルエンザおよび新型インフルエンザの治療薬としてアビガンの備蓄を決定。

2015年、台湾の感染症対策を行う台湾CDCが抗インフルエンザウイルス薬 アビガンを備蓄することを決定しました。台湾衛生福利部食品薬物管理署から製造販売の承認がされていませんでしたが、ヒトへの感染の危険性が高まっている鳥・豚インフルエンザなどの感染リスクが高まる背景の中、アビガン錠の持つ新しい作用メカニズムなどを評価、アビガンの特例輸入を決定しました。

アビガンに関する特許ライセンス契約を中国企業と締結

2016年 富士フィルムは、アビガンに関する特許ライセンス契約を中国大手製薬会社の浙江海正薬と締結しました。

参考

富士フイルム、中国製薬大手に特許供与 抗インフル薬日経

富士フィルムは、浙江海正薬業によるアビガン販売開始後のロイヤリティを受け取ることができます。

これまで中国では医薬品の特許侵害が頻繁に行われていてアビガン模造薬も問題になっていました。富士フィルムがアビガンについてのライセンス契約を行うのは今回が初めてとのこと。

また、2018年10月には中国における臨床開発に関する覚書を締結。今後、富士フイルムは、「アビガン」の臨床データを提供するなど、本臨床開発に協力していくと述べられています。

臨床開発に関する覚書
・富士フイルムは、これまで蓄積してきた「アビガン」の臨床データなどを、海正薬業や中日友好医院、NERCEDへ提供します。

・中日友好医院とNERCEDは、「アビガン」の有効成分を用いて、重症インフルエンザ患者を対象とした臨床開発を実施します。

・海正薬業は、中国において、「アビガン」と同一の有効成分を有する抗インフルエンザウイルス薬の製造販売承認の取得を目指します。

・富士フイルムと海正薬業は、「アビガン」の有効成分を用いて、重症インフルエンザ患者などを対象とした注射剤の開発を検討します。