鉱工業指数とは、日本全体の鉱工業の動向を示す指数です。鉱工業という名称からはどのような統計なのかイメージを持ちにくい人も多くいると思いますが、その中身は日本経済全体や私たちの生活にとても深く関わるものとなっています。
今回は、鉱工業指数について分かりやすく解説したいと思います。
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鉱工業指数とは
鉱工業指数とは、鉱業・製造業でどれだけ物が作られたか、どれだけ物が在庫されているかを示す指数です。
鉱工業指数には、生産、出荷、在庫、在庫率の4つの指数に分けられます。通常ニュースなどでよく見るものは鉱工業生産指数です。
[4つの指数]
- 鉱工業生産指数:鉱工業生産活動の全体的な水準の推移を示します。
- 鉱工業出荷指数:出荷量から需要の動向を知ることができます。
- 鉱工業在庫指数:どれだけ在庫がたまっているかが分かります。
- 鉱工業在庫率指数:在庫とその出荷の比率を示します。
鉱工業とは、鉱業と工業の総称です。採取した資源から原料が作られ、それから様々な物が作られるまでの一連の産業が含まれています。
なぜ鉱工業指数が注目されるのか?
ニュースで毎月のように鉱工業生産指数が取り上げられるのは、それだけこの指数が景気の動向を敏感に反映するからです。
① 経済活動に占める割合が大きい
GDPに占める鉱工業の割合は2割、商品の小売や運輸など関連産業を含めると約4割にもなり、日本全体の経済活動にしめる割合は非常に大きくなります。
② 景気に敏感に反応する
鉱工業の生産は、景気に大きく影響されます。景気がよければ生産量があがったり、反対に景気が悪くなれば在庫が積み上がり、生産が縮小したりと鉱工業の動きから景気の変化を読み取ることができます。
③ 毎月公表される
鉱工業生産指数は翌月下旬には公表されるため、足元の経済を見極め機敏に行動することができます。
鉱工業生産指数の基準
現在の基準は、2015年1月〜12月までの平均値を100(基準)として、それに対する増減を指数化しています。この基準年は5年に1回変更が行われます。またこれらの指数は412品目から算出され、この品目も5年ごとに見直されます。
鉱工業生産指数の推移
直近となる2020年3月データでは、生産指数は95.8(前月比-3.7%)、出荷指数は94.0(前月比-5.0%)、在庫指数は106.4%(前月比1.9%)となっています。生産量が減り、在庫が増えていることがわかります。
2013年から2020年3月までの鉱工業生産指数推移はこちら。