今回は、相場の下落を示唆するブラックスワン指数を分かりやすく解説したいと思います。
ブラックスワンとは
(写真:wikipedia)
ブラックスワンとはその名の通り、黒いカモ『コクチョウ』のことです。
もともとスワンと言えば『白鳥』です。湖で見られる美しく優雅な水鳥ですよね。
白いスワンが常識だった中、ある日オーストラリアで『黒いスワン』が見つかりました。
従来は『白』が当たり前、白以外のスワンなんて存在しないと思っていた最中、まさかの『黒いスワン』が発見されたのです。
これにちなんで『過去の知識や経験では予測できない事象』を表す言葉をブラックスワンと呼ぶようになりました。
ブラックスワン指数
金融の世界でも、「予測できない・大きな衝撃を与える出来事」をブラックスワンと呼び、それを指数化しています。
ブラックスワン指数とは、S&P500指数を対象とするオプション取引のコール(買う権利)とプット(売る権利)の需要の強さを表しています。
オプション取引なので、将来株価が上がると思った人はコールを買います。反対に下がると思った人はプットを買います。
仮にコールとプットが同じ量だけ買われたら、ブラックスワン指数は100です。
◇ 将来株価が上がると考える人が多い状況(コールがプットより買われる)では、ブラックスワン指数は100を下回ります。
◇ 将来株価が下がると考える人が多い状況(プットがコールより買われる)では、ブラックスワン指数は100を上回ります。
[S&P500]
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスが算出しているアメリカの代表的な株価指数。上場している銘柄から代表的な500銘柄の株価を基に算出しています。
[コールとプット]
どちらが買う権利で、どちらが売る権利かが直感的に分かりにくいですよね。その昔、先輩に口の形で覚えようと教えられました。『プットは、プゥーーーー売る!!」みたいな。
ブラックスワン指数の計算式
ブラックスワン指数の計算は、S&P指数やリターン、標準偏差などを使用して計算されます。計算式は複雑なので、初心者は単に『コール(買う権利)とプット(売る権利)の需要の強さ』と覚えておいて良いと思います。
ブラックスワン指数の推移
2019年7月から2020年7月までの1年間の推移は、110から150の間で推移しています。
2019年の年末、2020年2月のコロナショック前、
そして、2020年7月は実態なき株価急騰後の下落を予想する人が多いためブラックスワン指数は140を超えています。
多くの人が株価の急落に備えていることを意味しています。
ブラックスワン指数が平常時でも100を超える理由
ブラックスワン指数はこの一年間、常に100を上回っています。
教科書的に言うと、相場の下落を考える人(プットを買う人)が多くいるということですが、
実際はオプションというのは、株価急落に備え保険的に買われることがあり、このような買い方が指数上昇に寄与している部分があります。
ケースとしては、
「現物株を大量に持っていて、株価は今後も上昇していくだろうと考えながらも、もし予想外の出来事で株価が急落したら莫大な損害となる」
こんな場合は、保険としてプットオプションを購入しておきます。
仮にブラックスワンが訪れて、株価が急落した場合、「現物株の損害が100万発生したけど、プットを買っていたためオプションで50万の利益が発生」これらを差し引きすると50万円の損害です。
プットを買っていたため、急落時の損害を50万円に抑えることができたというものです。
もちろん、急落がなければプットを買ったお金は戻ってきません。掛け捨ての保険というイメージですね。
プットのプレミアム(オプション料金)は様々ですが、相場の急落時には少額で大きなリターンを受けられることもあり、このように保険的な使い方がされることが多いです。