土壌から排出される亜酸化窒素とは? Pivot Bio

慈善事業を行っていることでも有名なマイクロソフトの元CEO ビル・ゲイツ。

地球温暖化問題へ取り組むにはエネルギーや電力のみならず、他の産業でも同様に排出削減に向けて行動を起こす必要があると語ります。


(図:Gatesnotes)
農業(Agliculture)もそのひとつです。農業から排出される温室効果ガスは全体の24%。電力から発生するものと僅か1%しか変わりません。

代表的なものは、牛のおならやゲップ、糞、家畜の餌の栽培により排出されるメタンガスや亜酸化窒素などが問題となっています。

この畜産業が排出するメタンガスや亜酸化窒素は環境への影響が非常に大きく、二酸化炭素の温暖化係数を1とした場合、メタンは21倍、亜酸化窒素は296倍の温室効果があると言われています。

このため、再生可能エネルギーがどれだけ注目されても、この農業・畜産業を変えないと全体の温室効果ガスは減少しないと言われています。

今回は、ビル・ゲイツが支援するバイオテクノジー企業 Pivot Bioの取り組みをシンプルかつ分かりやすく解説したいと思います。



Pivot Bioとは?

アメリカ・カリフォルニア州の微生物肥料を手掛けているバイオテクノロジー企業です。

ビルゲイツ が率いるアメリカ・Breakthrough Energy Venturesからの資金援助を受け活動をしています。

亜酸化窒素とは何か?

問題となっているのは農耕地での化学肥料により発生する亜酸化窒素です。

これは大気中の80%を占める気体「窒素」に関連するものです。(空気:酸素21%、窒素78%、その他1%)

この窒素は土壌にも含まれていて、植物の生育に欠かせないものとなっています。土壌にどれほどの窒素が含まれているかによって植物の育ちが変わってきます。

このため栽培には窒素肥料を栄養素として土に補給します。しかし、この窒素がすべて植物に吸収される訳ではなく、化学反応により様々なものへ姿を変えていきます。アンモニウムイオンや硝酸イオン、亜硝酸イオン、そして亜酸化窒素もそのひとつです。

亜酸化窒素が土壌から大気中へ出ると、二酸化炭素の約300倍も強力な温室効果ガスとして地球環境へ影響を与えるものとなります。

窒素肥料の使用を止めれば、亜酸化窒素の排出も抑えられますが、食料の供給は肥料使用時の半分程度になると言われています。そうなると必要な食糧を確保できなくなります。

Pivot Bio PROVEN

Pivot Bioは、合成肥料の重要な栄養素である窒素を産み出し、植物へ供給する微生物プロダクト「Pivot Bio PROVEN」をリリースしました。

遺伝子編集によってつくられた微生物プロダクト「Pivot Bio PROVEN」と植物の種を土壌にまき、微生物の本来の能力を利用して作物に栄養を提供するというものです。空気中の窒素を植物が利用できるものへ変換するため、温室効果ガス排出削減には大きな効果があるとPivot Bioは語ります。

化学肥料への依存を軽減するほか、農家のコスト削減、温暖化対策になるバイオ製品です。またこの微生物肥料は天候に影響を受けることなく、化学肥料に匹敵する収穫を生みだすと言われています。

このように技術革新で環境問題を乗り越えていく。それがビル・ゲイツの考えです。

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