ブックレビュー「半導体工場のすべて」

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半導体工場のすべて
著者 菊地正典

[出版社説明]
日本の半導体産業40年の英知をまとめた決定版が登場。「工場」の切り口から解説することで、読者は従来の「しくみ」だけでなく、ヒト、モノ、カネ、情報も加えた総合的な形で半導体を理解できる。エピローグとして「『日の丸半導体』復活に向けての処方箋」も収録。半導体に限らず、全製造業関係者、必読の1冊。

半導体工場、製造現場の実情を知る書籍といったところでしょうか。とてもわかりやすくまとまっています。

半導体工場の立地や外回り施設の状況からはじまり、敷地内の事務棟や工場棟の詳細、どのような部署があるのかなどが丁寧に記載されているので、これから半導体業界に従事しようとしている人にも大いに役立つ内容だと思います。

工場内に配置されている設備やプロセスについてもとてもわかりやすく、生産現場の全体像を俯瞰できるのが良いですね。

技術な話では、金属シリコンの輸入からはじまり(地球上に2番目に多い元素なのに何故輸入するのかも良くわかりました。)

インゴットからSiウエハの作り方、半導体プロセスが3インチから18インチへ移り変わった推移など基本的な事柄に加え、

ウエハがどのようなプロセスを経て製品になるのか、CVDとPVD、メッキの違いは何なのか?どの材料でどの成膜方式が適しているのかなど詳細に記載されています。

半導体関係の本ではかなりの良書の部類に入りそうですね。おもしろかったです。



目次
はじめに

第1章 半導体工場の敷地内を歩いてみると

01 半導体工場を鳥瞰すると──工場棟、事務棟、工場周りの配電設備、タンク……
02 ラインを総チェック──拡散ライン〜検査・選別ラインまで
03 組織図はどうなっている?──工場長の下に生産技術部、設備技術部などが連なる
04 工場の立地条件──水、電気、高速道路、そして意外な必須条件も…
05 変電所設備をもつ半導体工場──停電対策のあの手、この手
06 薬液・ガスの供給・廃棄システム──大量に使う窒素ガスは「空中」から供給することも
コラム 半導体メーカー ──社名あれこれ

第2章 ⅠCはこうして作られる

01 「半導体」とは何か──半分だけ導電体?
02 ⅠCができるまで──前工程、後工程を概観すると
03 前工程❶「FEOL」──ウエーハ上に素子をつくり込む工程
04 前工程❷「BEOL」──素子間を金属配線で接続する工程
05 シリコンウエーハ──イレブン・ナインの純度にまで仕上げる
06 薄膜の作り方、載せ方は──薄膜を何層にも重ねて作る
07 電子回路をどう焼き込むのか──回路パターンと写真焼き込み
08 エッチング工程で形状加工する──材料薄膜を加工する
09 99.9…の純度の中に不純物を?──なぜわざわざ不純物を入れるのか?
10 ウエーハを熱処理する──熱処理の目的と主な工程
11 表面を平坦化させるCMP工程──ウエーハ表面に凹凸があると信頼性に難

第3章 ⅠCづくりを支える裏方プロセスを追う

01 洗浄でゴミを徹底的に取り除く──化学的な分解、物理的な除去の2つの方法がある
02 洗浄後は「リンス→乾燥」──リンスは超純水、水分は吹き飛ばす
03 配線は象嵌細工技術で──ダマシンプロセスのルーツは金工象嵌
04 ⅠCチップは全量検査──ウエーハ検査工程でのチェック法
05 「冗長回路」という保険の導入──「万が一」に備えた予備メモリのしくみ
06 チップに切り分けるダイシング──人間の髪の毛を10本に切り分ける
07 ケースにマウントする──パッケージに精確に収める作業
08 ボンディングで金線接続──わずか100分の1秒の世界
09 リード表面処理──外装メッキで強度向上、錆の防止効果
10 チップを保護する「封止」──気体や液体の侵入からチップを守る
11 リード端子の加工成形──パッケージに合わせて加工する
12 チップ識別の「捺印」──いつ、どこで、どのように製造されたか
コラム シリコンメーカーとEDAベンダー

第4章 原材料や機械・設備について知っておこう

01 シリコンをなぜ輸入する?──アルミと並ぶ「電気の缶詰」
02 装置を工場に導入する一部始終──装置メーカーにノウハウがたまるしかけ
03 装置が同じなら、同一のⅠCが?──無数の組合せから「レシピ」が作られる
04 ⅠCの原価率はこうなっている──月2万枚の製造で3000億円を投資すると
05 原材料の保管期間はバラバラ──薬液類は温度・湿度で微妙に変化する
06 なぜウエーハ周辺部を使わない──エッジ・エクスクルージョン
07 超純水は工場ごとにブレンド──原水から超純水ができるまで
08 超純水はどれくらい純粋?──一律の基準値はないけれど
09 薬液、ガスのグレード、純度は──2N5は「99.5%」の純度を示す
10 設備稼動率を計算する──設備がどの程度有効に稼動しているか
11 シランガスは自然発火する危険物──半導体産業の興隆で急に使われ始めたガス
12 「水素爆発」は半導体工場でも ──原子力発電所と半導体工場の類似点
13 「露光技術」は微細化の中核──パターン転写の要の技術
14 バッチ処理から枚葉処理へ──微細化に有利な枚葉処理
コラム 超純水、フォトレジスト、マスクの主要メーカー

第5章 検査でのミス発見法、出荷する方法

01 不良品をどう見つける?──検査工程のキホンは「全数調査」
02 パッケージ前に出荷されるKGD──MCPに必要なベアダイ
03 ⅠCのサンプル──開発時から量産時までのサンプルの種類
04 信頼性試験とスクリーニング──加速試験で寿命を見積もる
05 同一仕様でも動作速度に差が?──プレミアLSⅠは検査工程で区分する
06 ⅠCの出荷・梱包での注意点──顧客に出荷する際の3つの収納ケース
07 半導体商社と直販で販売──半導体商社=セールスレップ+ディストリビュータ
08 クレーム対応でチップの改善へ──製造履歴を遡って調べることも

第6章 知られざる工場内の「御法度・ルール」

01 半導体工場の交替制勤務──1年365日・24時間のフル稼動
02 ロボットとリニア搬送で動く──ヒューマンエラーをなくし、効率化を図る
03 号機指定・群管理──精密機械だからこそ、個体差が出る
04 パーティクルがⅠCをオシャカに──どのくらいのゴミが問題になるのか
05 CⅠMの3つの役割──半導体生産の効率、品質向上を実現する
06 統計的工程管理が支えるもの──安定した製品の実現と品質の作り込み
07 傾向管理で異常兆候をキャッチ──SPCの管理法
08 産廃業者の不法投棄の責任は自社に──会社のイメージ失墜に至る
09 クリーンルームの清浄度──JⅠS規格では「クラス1〜9」
10 クリーンルームに入る儀式──手で軽く全身を叩いて、2〜3回、身体を回転
11 クリーンルームの構造と使い方──大部屋方式とベイ方式
12 「局所クリーン化」戦略──クリーンルームのコストを抑える知恵
13 クリーンルームは宇宙実験棟?──黄色の照明、特殊な筆記具
14 ラインを特急・急行・普通が走る──製造工期の異なる商品が混流しすぎると……
コラム クリーンルームの関連企業

第7章 働く人々のホンネ──工場は人でもっている!

01 アイデアは喫煙室で生まれる──独特な雰囲気の異次元空間
02 工場ツアーは原則「お断わり」──製造ラインへの入室は「秘密保持契約」を結んで
03 カイゼンは半導体工場でも──提案を審査し、等級を決定
04 さまざまな非正社員が働いている──スキルの高い人材を得やすい特定派遣社員
05 チェックに次ぐチェック──クルマ、医療器具に使われるだけに厳正に
06 どんな資格が必要となるか?──電気取扱、フォークリフト、溶剤、防火……

第8章 知られざる半導体工場の秘密

01 タテ型の「炉」が主流の理由──フットプリント、ウエーハの支持、移載の容易さ
02 ウエット洗浄以外の洗浄方法──目的・用途に応じて使い分ける
03 歩留まりって、なんだ?──1枚のウエーハから何個の良品チップが得られるか
04 ロットサイズが生産性に影響──小ロットならサイクルタイムは短くなるか?
05 クリーンスーツの色分け──瞬時に相手を見分けるために
06 ガスボンベ室の工夫──なぜ天井の耐圧を弱くしてあるのか?
07 静電気対策に知恵を絞る──CO2を水に混ぜる?
08 クリーンルーム見学を楽しむ法──知っていると工場のスポットごとの特色もわかる
09 定期点検では何がチェックされる──毎日の検査、1ヶ月検査、6ヶ月検査……
10 装置のレベルを揃えておく──ラインバランスを整えると生産性が上がる
11 半導体工場のゼロ・エミッション──地球にやさしい循環型産業をめざして
12 半導体メーカーに見る「戦略」の違い──インテル、サムスン、TSMC
13 装置メーカーから情報が漏れた?──蜜月から一気に不信へ?
14 いざというときの電源対策──電源不足時における優先度
15 クリーンルーム健康調査──おざなりな工場視察団

終章 「日の丸半導体」復活に向けての処方箋

(1)半導体業界を取り巻く大きな変化

(2)半導体メーカーの凋落原因を探る
 ❶コスト戦略──積み上げ原価方式で戦う愚かさ
 ❷遅れをとった技術戦略──取り残された日本の技術者
 ❸見誤った製品戦略──トップ層の無理解
 ❹半導体部門の悲哀──総合電機メーカーにとっては「新興・一事業部門・異端児」
 ❺合併の失敗──強みをもたない弱者連合
 番外編──「ノウハウは装置業界から流出した……」は本当か

(3)再興への処方箋
 ❶コスト削減──リソグラフィ工程をなくしてみるとどうなりますか?
 ❷「万能メモリ」で勝負せよ──爆発的な新市場を切り開く可能性
 ❸1世代、2世代先のファウンドリ・ビジネスを
 ❹「総合判断のできる技術者」の養成がカギ
 ❺新しいアプリケーション開発をするためには
 ❻東南アジアの需要をとらえる

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